先日、コルナゴ日本総代理店であるアキボウ様より、幸運にも2020年モデル・コルナゴV3-RSのディスクブレーキ仕様を、数日にわたってしっかりと乗る機会を頂くことができました。
2020my COLNAGO V3-RS DISC
さて今回お借りした車体は、ネロアランチオ(RZRD)と呼ばれる、レッド~オレンジのグラデーションの鮮やかなカラーとマットなカーボン地むき出しのツートンカラーで塗装されたフレーム。
そこにカンパニョーロ・コーラス12速のディスクブレーキコンポと、同・シャマルのアルミホイール、そこにチャレンジ・クリテリウムのクリンチャータイヤ(700x25c)の組み合わせ。
サイズは480S、こちらもわざわざ自分の体格に合わせて頂いて、感謝感謝です。
カーボンシートポストはフレーム専用のもの、カーボンハンドル・ステムはコルナゴオリジナルが装着されていました。
車体の印象について、項目別に記載させて頂きました。
☆コーナリング性能
イタリアンバイクらしく、ヘッドとフォーク剛性がとても高く、筑波山の荒れた舗装の峠道でも不安感なく自分のイメージ通りのラインを無理なくトレースすることが可能でした。
タイヤも歴史的には老舗のチャレンジで、フレーム・ホイールとの相性も良く、ロードのセオリー通りの走り方をさせることで、より気持ちよく走ってくれました。
☆振動吸収性
コーナリング性能のところでヘッドとフォーク剛性は高いと書きましたが、それらと比べるとフレーム自体はしなやかで、25cのタイヤを比較的低圧の6BAR前後で運用すると、荒れた舗装の継ぎ目やギャップを跳ねることなくいなしてくれ、それがまた安心感につながる印象でした。しなりについても意図的に方向性を持たせてあり、リズムに合わせてペダリングするととても気持ちのいいダンシングが決まりました。
☆ハンドリング特性
長めのヘッドチューブ、そしてシートアングルから来る類い稀な安定感は、このV3-RSにも引き継がれているようで、手放し走行などを試してみても直進性はもちろん、そのままコーナリングを敢行してみても自分の意志そのままに、あたかもハンドルを持っているかのようにコントロールができる、とても穏やかかつコントローラブルな特性になっています。
チョイ乗りでは少し物足りない印象を受けがちですが、まさに自分の能力の限界で走っているような、とても繊細な操作をすることが難しい状況では、この特性が乗り手にはとてもありがたいものになって来ます。
☆ルックス
コルナゴの定番となりつつあるスローピングスタイルも継承しつつ、各パイプを角断面とし、モダンな印象を受けます。タイヤクリアランスも28cのワイドタイヤまで使える現代トレンドを満載したフレームです。カラーバリエーションも4色。
☆サイズ展開
8つものサイズ展開で、かなり幅広い体格にフィットさせることができます。
☆最も適した用途
もちろんロードレース全般となりますが、100km以上の距離やコースプロフィールのフィジカル面でキツいレースで、ハンドリング特性のところで書いたような特性がアドバンテージとして発揮されると思います。
☆総括
ディスクロードが一般化してから数年経ちますが、やはり今までのロードレーサーとは少し違う乗り物に仕上がっていたように感じました。
ブレーキ装置の取り付け位置の違いやホイールのスルーアクスル化、それらからくるフレームの剛性の持たせ方の違いが、乗車フィーリングの違いとして感じさせていたのではと思います。
これが初めてのロードとなるユーザーには、ロードレーサーとはこういうものという捉え方となると思いますが、自分のような旧来からのユーザーには、うーん、というなかなか納得できない部分、やはり前出のように違う乗り物となってしまう部分がありました。
ですが今回のV3-RSにおいては、その違和感がほとんどゼロのところまでなくなっており、自分のような保守派ユーザーもこれこれ、この味、と納得ができました。
昔の乗り味をVR技術でシミュレートしたような、そう感じさせるところまでの仕上がりになっています。
そしてこのフレームの存在感は薄い、感じました。こう書くと、ネガティブなイメージを持たれてしまうかもしれません。
しかし、昨今は存在を主張するフレームが多い中、その存在を気にすることなく乗り手が直接地面を蹴って走っているような、自分の足で踏ん張ってコーナリングしているような、乗り手が主役になれるフレーム、余計なことを考えずに「自分」が走っているんだ、と感じられるフレームでした。
最後にこのような機会を与えて頂きました株式会社アキボウ様、ありがとうございました。
厚く御礼申し上げます。
つくば花室 自転車店 Hi-Bike(ハイバイク)塚田